公演も終わったので、演劇関係の内容が続いたが、このシリーズもこれで終了です。
私は劇団を主宰していますが、コロナ禍で公演などできるはずもなく、他団体はどんな感じかなって偵察がてら客演することにしたわけです。
いやはや劇団、演劇自体がオワコンでそれだけに未だ続けている団体ってのは運営が大変!
まぁ私はそれでも心の赴くままにっていうか、演劇活動に携わると心が洗われる感じがして、それは他では味わえない感覚なので、それで続けている。
で、その運営、というか芝居作り、ですよ。
ウチとの一番の相違だったのは厳しく演出しているかそうでないか。
ここはとっても難しいところ。名門といわれる新劇劇団出の演出家なのでとっても厳しく指導されていた。ときに演技の出来が悪いときは怒号が飛び交っていた。あと若い俳優は礼儀がなっていない方もいらっしゃり、それについても厳しく指導されていた。
ウチは全く逆。
高いレベルでの演出となるとホンのちょっとした間、大事な台詞となると単なる台詞回し、言い方だけでなく、ちゃんと内容を理解し、心に落とし込んで喋っているかどうか、そこまで求められる。
ウチは演者がここまでは出来ないだろうと半分諦めもあって妥協している。
礼儀に関しても、うちはユニットという形をとっている以上、参加者の俳優たちは所詮手駒ではないんで何も指導していない。
厳しくすると劇自体は締まって良く見えるがその座組(演劇を作るチームのことね)の雰囲気が最悪になる。実際、参加した団体は最悪だった。険悪な雰囲気。
一方うちはそれなりの関係者が劇をみたら作りが甘い、演出が甘い、と評されるだろう。
しかしウチはほぼ、現場の雰囲気は毎回いい感じで制作できている。チームワークができ、演出では出せない一体感が生まれる。チームとしてのまとまり。
このバランスなんだろうが本当ムズいと思う。どちらを優先するか。
そりゃマジにメンバー全員がプロで作ったら和気あいあいの雰囲気でも高いクオリティのものが出せるだろうが、一般から募集するとなると、要は売れてない俳優(或いはこれからの俳優)たちが集まってくるのでそうはいかない。
ウチとは対局で運営している団体を今回見たわけだが、やはりウチはこれまでのやり方でいいかなと思った。今回の団体は和気あいあいを一切排除。楽日迎えても集合写真すら撮らない。打ち上げは行ったがなんとなく漂うシラけた感じ。これはさすがにどうかなと思った。
演出も千差万別だなって思った。
演技をリアルに見せようとしていたところはウチと一緒だった。
若手劇団なんかに多いが、スタジオ公演、小さな小屋での公演だってのにやたらとデカい声でまくしたてる。頑張ってるところ見てほしいんだろうね。だけど客としたらウザいったらありゃしない(笑)
そこはリアルな声量で映像演技みたいに演っていたのはよかった。
ここの演出家はスピードを重視していた。私としては丁寧に芝居をしてるつもりだったが、物語前半は設定説明みたいなもんだから芝居を捨てていかないと。後半重要なところをその分丁寧に演って、とダメ出しされた。
演出家によっては早く台詞、演技を回すと「芝居が雑、芝居が流れてるよ」とダメが来る。
要は解釈、演出手法が違い、ここは慣れた演出じゃないと特徴が掴めず戸惑った。
うちもある程度スピードは重視している。なんせ芝居で持たせられる役者の参戦なんて期待できないから、もったり演られるとクサくてクサくて(笑) 本人芝居に酔っているのに気付いてもいないし…
ただ、あそこまでスピード出すと私は不自然に思えた。
芝居、もっというと会話はグルーヴ感っていうのかなぁ、自然なリズム、流れをウチは重視していて、観ているお客さまがまるで立ち話を聞いているみたいな錯覚を起こさせるまで行けたら成功!と思ってるんで。
これが解らない役者が多くて困る。単調リズムでお客さんが眠くなるような台詞回しする奴。
ひとつ特徴があって、オンチなヤツってのは大体ダメだったね。これまでの統計上、ほぼ100%グルーヴ感を持ってなかった。
まぁそのグルーヴ感ってのにも関係してくるんだけど、演出で技術的にガチガチに固められて役者たちの本心は「楽しくないなぁ」って思って演じていて、いいグル-ヴ感は生まれず機械的に作られたスピードだけが残るんだなぁと今回体感した。どうしてもやらされてる感が滲み出る。
多少(かなりかも)演技に雑味は残るが、気分よくリラックスして演じてもらった方がリアルなグルーヴ感が生まれるのでこれまでの運営に間違いはないな、と思った訳でして。